絵画は「見て楽しむもの」——シンプルで力強い信念を持ち、色と形の響き合いを大切に制作を続ける画家・大谷太郎。ドイツで絵画を学び、ベルリンでの活動を経て現在は神奈川を拠点に、日常の風景や季節の移ろいを独自の色彩で描き出しています。偶然性を受け入れながら、手を止めることなく筆を動かす日々。今回のインタビューでは、大谷さんの創作の背景や作品に込めた思いを伺いました。
大谷太郎 Taro Otani
1979 横浜生まれ
2004 ドイツ国立カールスルーエ造形芸術アカデミー絵画・グラフィック科卒業。Diplom学位獲得
2006-2013 ベルリンで製作活動
2013 より神奈川在住
前回のインタビュー以降、ご自身の制作に何か変化はありましたか?
大きな絵を描くようになりました。
生き物を描くようになりました。
最近影響を受けた作品やアーティストはいますか?
たくさん絵を描く点で、ピカソ。
様式の完成度がとても高い点で、俵屋宗達。
色彩豊かな点で、キルヒナー。
今回の個展に出展する作品について教えてください。
ここ数年ぼんやり描き始めた絵がはっきりシリーズ化してきました。よく「1人で描いたのですか?」と聞かれるのですが、それはシリーズ化が進んできたためかと思います。色々なモチーフや表現をお楽しみ頂ければ嬉しいです。
「変わらず大切にしていること」と「最近変わってきたこと」があれば、それぞれ教えてください
色と形はずっと変わらず大事です。
最近は人に求められるモチーフに応えてみたい気持ちが強くなり、なんでも描くようになりました。絵が賑やかになったと思います。
普段の生活や日常の中で、インスピレーションを得る瞬間はどんなときですか?
犬との散歩中かなと思います。歩く周りの風景から感じ取ることもあるし、ふと全く関係のない事が心に沸いてくることもあります。犬とのコミュニケーションも大切にしていますが、散歩で出会う人たちとの会話も刺激になります。
作品はどのように制作していますか?技法について教えてください。
色面を大きく塗って段々細かくしています。細部が画面全体の構成のなかで無関係にひとり歩きしないように画面から何度も離れて確認します。
今の制作スタイルに至るまでに、捨てた/手放した考え方や方法はありますか?
描くことと考える事を同時にしなくなりました。手を動かす動作抜きに絵は進まないので、間違えても変でもともかく描くようにしてます。
制作がうまくいかない日でも、筆を止めないと決めているとのことですが、その原動力はどこから来ているのでしょう?
僕にとって筆を持つことは生活の一部なのです。
自分の絵のあそこが気に入らない、ここが嫌だと割といつも思うので、良くしたくて追いまわしているうちに、結果たくさん描いてるみたいになります。
今後の制作において挑戦したいことや意識していきたいことを教えてください。
どこまで自分の表現にできるか、拡げられるか、
色々なモチーフや描き方に挑戦し、いけるところまで行きたいです。
5月7日(水)からギャラリーにて個展を開催します!
大谷太郎「LIFE」
2025年5月7日(水) ~ 5月24日(土)
営業時間:11:00-19:00 休廊:日月祝
※初日の5月7日(水)は17:00オープンとなります。
※オープニングレセプション:5月7日(水)18:00-20:00
入場無料・予約不要
会場:tagboat 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町 1F
tagboatにて、現代アーティスト・大谷太郎による個展「LIFE」を開催いたします。
20歳でドイツに渡り、国立アカデミーでの絵の修業を経てベルリンを拠点に活動してきた大谷太郎は、「絵は見て楽しむもの」というシンプルな絵画観のもと、具象と抽象を自在に行き来しながら、四季の移ろいや日々の風景を独自の視点で描いてきました。
「LIFE」というタイトルには、日々変化する思考や感情、記憶や感覚を、色と形にのせて表現し続けるという意思が込められています。抽象と具象、路上の経験とアカデミーでの学び——異なる価値観の中で築かれてきた作品群は、「描くとは何か」という根源的な問いに向き合うものでもあります。
懐かしさと未来感を同時に呼び起こす幻想的な作品を是非ご覧ください。